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1924年、アメリカ合衆国、マサチューセッツ。
ある農場で1人の男が小さな金属の筒のようなものを設置した。
彼の周りには身なりのいい紳士たちがその作業を見守っている。
男は作業を終えて筒から離れる。
しばらくたつと金属の筒は鋭い音を立てながら炎を吹き出して、あっという間に青空に白い雲を描きながら上昇していった。
紳士たちは口を開けながら空に飛翔する筒を追う。
「あんたら」男は言う。「ポルトガルから来たんか?」
「ゴダードさん」紳士の一人が答えた。「いかにもそうです。我々はポルトガルから来ました」
ゴダードと呼ばれた男はその男を睨みつける。
「ポルトガルでこの技術の研究を続けませんか?」
「ポルトガルで、だと?」
「ポルトガルはあなたの力を必要としています。全力であなたの研究を支援します」
「わしは」ゴダードは語気を荒くする。「アメリカ市民だ。外国のために仕事をする気はない」
「お気持ちはよくわかります。我々もそうですから」
紳士は一呼吸おいて静かに話を続ける。
「ゴダードさん。考えてみてください。スミソニアンから資金援助を貰えているかもしれませんが、アメリカであなたの研究を理解してくれる人がいますか? 失礼ながら、あなたは周囲から変人扱いされているではありませんか! だが、ポルトガルは違います。あなたのその技術を評価し、支援したいと思っています」
「じゃあ、ここにいるわしを支援してくれ! それでいいだろう!」
「それができないことはよくご存知のはずです」紳士は首を振った。「これは取引なのです。我々はあなたを支援し、あなたはわが国の庇護下で研究を続けるという取引なのです」
ゴダードは押し黙る。
空にはまださっきの筒が描いた白い雲がかすかに漂っていた…。
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