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1934年1月。ポルトガル領東アフリカ。ケニア州モンバサ近郊。
ぎらつく太陽が照らす平原にそびえたつ塔があった。
大きくはない。
だが、その異様な姿を見た現地の人々は口々に噂をしていた。
「白人が天に矢を放つらしい」
「ロケット『エンリケ4』は」ゴダードが植民地軍の面々に対して説明する。「前回の試作ロケット『3』から姿勢制御技術および推力の改善を行った。予定到達高度は10000mだ」
「10000m? それってすごいのか?」士官の一人が口を開いた。
ゴダードはうんざりしたような顔で答える。
「現時点ですでに世界で打ち上げられたあらゆるロケットの記録の数倍の高度だ。ドイツのロケットもこの高度に達していない」
「それはすごいな…!」
「ともかく」ゴダードは話す。「試験を見学してくれ。そうすれば、ポルトガルがいまや宇宙に一番近い国だということがわかる」
将軍「シロツグ。どうだった? ロケット試験は?」
シロツグ「はい、すばらしい技術でした。植民地軍がこれほどの技術を開発できていたなんて」
将軍「うむ、そうだろう…。さて、すでに聞いていると思うが…先週の議会において、植民地軍は国軍に統合されることが承認された。1936年1月1日までにすべての植民地軍は国軍の方面軍に改組される」
シロツグ「ええ」
将軍「植民地軍の将官は、希望すれば国軍の同階級の将官となることができる。お前も国軍の士官になれるということだ」
シロツグ「将軍はどうするんです? 国軍ならだいぶえらいポストをもらえるのでは?」
将軍「いや…わしは『宇宙軍』に行くことにした」
シロツグ「宇宙軍??」
将軍「植民地軍からロケットと宇宙開発部門を独立させたものだ。これだけは渡したくなくてな、王室にも働きかけて設立したのだ。ま、軍と名前はついているが、戦争はしない軍隊だ」
シロツグ「そんな組織ができるんですか。ぜひわたしもそこに行きます!」
将軍「そういってくれると思ったよ。ぜひ宇宙軍で宇宙を目指そう」