開発者日記

翻訳元URL:http://forum.paradoxplaza.com/forum/showthread.php?t=445988

前回-第2回

設計哲学

 我々はすでに2つの開発者日記を公開した。そこで今回は、より踏み込んだ内容を見ていこう。全体的なVictoriaのデザイン目標についてだ。さらに皆が喜ぶようイベントについて触れるかもしれないし、触れないかもしれない。だがどの道、イベントについてはいずれ触れる事になるだろう。

 

 Victoriaのデザイン目標の核は、箱庭ゲームを目指している事だ。またVictoria2は、可能な限り歴史を変えられるよう作られる。そこで、プレイヤーに起きた出来事を追って見てみよう。時代は1914年、プレイヤーはドイツ。ドイツとフランス・ロシア同盟はそれぞれ存在しているが、オーストリア=ハンガリーとオスマン帝国の同盟は破棄されている。だが、この状況はロシア・フランス同盟との戦争(第一次世界大戦イベント)のために、またオーストリア=ハンガリーとオスマン帝国と同盟したために起きたのではない。基本的に我々は、ゲーム進行のハードコード化を取り除き、プレイヤーがより自由にゲームをプレイできるようにする事を目指している。

 

 箱庭ゲームであると同時に、Victoria2は歴史ゲームでもある。だから、国家を操縦するためにハードコード化されたスクリプトを加える代わりに、プレイヤーの自由な行動を制限する歴史的なゲームシステムを導入する。Victoriaにおいて圧倒されているとされる国家の例としてロシアを取り上げ、我々が言わんとしていることの一部を語ろう。まずはPOPの昇進で、これは自動化される予定だ。まあ、プレイヤーがPOPの昇進に影響を与える手段は沢山あるし、私もその内容について後の開発者日記で改めて触れるつもりだ。だが今は、このことだけを抑えてほしい。ロシアの民衆は西欧諸国の民衆よりも識字率が低く、それが原因でロシアの民衆は西洋の民衆よりも昇進の機会が少なくなる。結果、ロシアの民衆が昇進する頻度を少なくする。我々はこれらで、当時のロシアの相対的な後進性を再現しようとすると同時に、プレイヤーがその事実に打ち勝てるよう目指している。

 

 我々は以前、行政機関を代表する官僚POPについて触れた。だが、専制君主制においては行政を保つため、貴族を保持する事になる。(貴族は官僚と違って自由に自らの身分を変えはしない)それゆえ以前のVictoriaでの即座な改革の「貴族の打ち捨て」政策はもはや賢明とは言えなくなった。さらに遅れた国家であった場合、貴族は国家の主柱なため、プレイヤーは単純にそれらを打ち捨てる事はできない。まず第一に、官僚の育成を促進する必要があるのだ。その場合、自国の経済的後進性も注意が必要で、プレイヤーは労働階級の育成の促進でも大忙しだ。つまり、この二つのバランスをとる必要があるのだ。もちろんこれが全てというわけではないが、残りは後の開発者日記に残しておこう。

 

 次に紹介する内容がカバーしている分野は幅広いが、これらは我々のゲームデザインを形作る他の重要な要素だ。VictoriaはHearts of Iron 3と比べてかなり異なるものだ。Victoriaは単純な地図の塗り絵よりも重要視しているものがある。それは、政治と経済だ。プレイヤーは戦争を始めることなくVictoriaを大いに楽しむことができる。我々はその要素を持たせ続け、さらに深めたい。(我々が出来る限りの拡張はするといってもだ。)Victoria2は続編なので、前作のファンにも楽しんで欲しい。だが我々はさらに二つの目標を掲げている。前作を楽しめなかった人達、プレイした事の無い人達にもVictoria2を楽しんで貰う事だ。そのため、前作からのファンにはゲームシステムが以前と同様に感じるはずだし、同時に前作を楽しめなかった人達のために、我々はプレイを止める要素を可能な限り排除した。

 

 我々の設計哲学の最後はインターフェイスだ。Victoriaにおいて、インターフェイスは大きな問題だったと言える。だから、Victoria2ではそれらの改善を重要視している。最近のインターフェイス改善がファンたちの間で不評な事は知っている。だが今回は信じて欲しい。今回ゲームに実装されるインターフェイスにより、プレイヤーは実際にストレス無く、煩雑性を感じずプレイする事が出来るだろう。

 

 最後はイベントで締めようと思う。我々は数千のイベントを約束したが、我々の計画において、イベントは重要な項目では無い事を知っていて欲しい。つまり、厳格なヒストリカルイベントで、ゲームに歴史再現を強制させる予定は無いという事だ。我々は、プレーヤーがゲームをプレイするために、イベントファイルを先読みする様な状況を望んでいない。他方で、イベントはそれ自体ゲームにある要素を加える。ブラジル用のイベントが発生した時、南米の某国Aで無く、ブラジルでプレイしている事を実感させる。Victoriaが持っていたのは2つの階層、つまりメジャーイベントとフレバーイベントに分けられる。我々はメジャーイベントを政策に置き換え、より一般的なものにしようとしている。日本を例に挙げると、日本では明治の王政復古がある。前作でイベントだったこれらを一般的な政策にした事によって、プレイヤーは他の非文明国でプレイした場合にも、同様の効果を得られる可能性が生まれた。フレバーイベントはそのまま残される。現状では、全般的に威信が加えられ、僅かながら政治意識が上昇する。このようなものはゲームの流れを作ったり破壊したりしないが、このイベント上で国家は大いに科学的なブレイクスルーを迎え、貴族の特権に打ち勝ち、自国は普通の国では無くなる。我々は、これらで特別な国のプレイ提供に挑戦しながら、箱庭ゲームのバランスを取ろうとしている。

 

 ではここで今週の開発者日記を終えよう。来週は、上記で述べたことを具体的にどう現実化させるかについて触れていこう。
 追伸:これはスウェーデン以外の部分のスクリーンショットです

次回-第4回


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