第一次世界大戦終結に際して、世界には平和が訪れた。
道行く人々は銃を片手に「フォーザレボリューショナリー」と口ずさみ、世に言うブルジョア達は大型の鉛を詰めた"祝砲"を公民会館にぶちまけるのであった。
・・・そう、厭戦による革命シーズンの到来だ。
取り分け、フランス国民の皆さんはゲバ棒片手に暴動を起こすのがお好きなようで、母国の地を赤々とした旗で埋め尽くのであった。 何これ酷い。
ドイツ・ロシア両国も多くの兵士を失った事で国民感情が高ぶったのだろう、主戦場だったイギリス自身もまた例外ではなかった。
ドイツに至っては何故か兵士が居なかった為、ロシアが討伐兵を派遣する。
確か前回の戦争終了時に沿岸に結構居たはずだけど、総動員だったのだろうか。
米墺日に関しては、本土が戦場にならなかった事で反乱は起きなかったようで、順調に内政重視にシフトしスコアを伸ばしつつある。
世界が国内安定へと乗り出していたその時、突如としてドイツ破産のポップアップが表示された。
何故今頃と他国が不思議がっていた時、微かにドイツの不気味な笑い声が聞こえたような気がした。
ドイツが何をしようとしたかについて説明するには、第一次大戦末期にまで話しをさかのぼる必要があるだろう。
両陣営とも継戦について無意味ではないかという疑問符が脳裏を過ぎり始め、お互いに歩み寄る雰囲気が漂い始めた。
しかし、状況は英米日側が有利な条件を提示できる立場にあり、このままでは拗れるのは明白であった。
しばらくお互いに腹の内を探り合っていた中、ドイツが諸事情によりしばらく席を離れるが、この事が自体を急変させる事になるのである。
ドイツ不在のまま両陣営ともVCで譲歩を探り合っている中、誰かが「仏露さんはなんでドイツさんを食わなかったの?」というストレートな質問をぶつけてきた。
そもそも3カ国で同盟を結んだのは、アメリカが最初の対英戦に於いて対応をこまねき、苦慮した上でドイツを味方に引き入れる事になったからである。
ドイツ自身もこの同盟が存在する限り、仏露共に仮想敵国はイギリスであり続ける事から安全保障上理にかなっていた。
だが、第一次大戦に敗北しイギリスをしばらく再起不能にするという公算が崩れた時点で必然的に仏露の目は大陸に向けられ、ドイツステートへの魅力は払拭できない事態となった。
つまり、一連の戦争はイギリスを蹴落とす為というよりドイツの生存戦争と位置づけることができるのやもしれない。
話を戻すと、イギリスが仏露に提示した譲歩案は「ドイツ分割にあたって両陣営は協力する」というもので、3カ国同盟の解体文書とも言える内容だ。
何を隠そう、ロシアは初期の頃からドイツを分割しようとしていた張本人であり
同盟自体捕食対象を挟み込んだ状態で成立している歪な関係なのではないかと時たま疑問に思っていた節があった。
それと同時に現時点での3カ国同盟は、もはや限界に達しているといっても過言ではなく、迷いが生じている中での提案である。
*英米は後半のアドバンテージがすさまじいのに対して独仏は後半の伸びが今一、露は膨大なステート数が結構うざい
結局のところ、仏露はこれの提案を受諾し、文字通り2カ国はドイツを"売った"のである。
ちなみに、こんな機密文書染みた内容をこの段階で書いたらまずくね?とお思いになる方もいらっしゃるかもしれないが
この間話し合いの場が持たれたのが"ドイツ不在の公開VC"であり、おまけに誰かがこの内容をドイツへリークした事で全員が知るところである。
再び破産の話に戻すと、どうやらドイツは破産によるスコア威信点低下を狙ったらしい。
それと同時に師団と船舶をすべて解体したことで軍事点が下がり、日本以外の国から宣戦布告が出来なくなった事になる。
通常であれば、そこを補完する形でランダムCB(破産も含む)などがあるのだが
ルール決めの時にCBに関する表記が抜け落ちており、これに気づいたドイツはわざと破産させた。
つまり、ドイツは事前に分割の情報を聞きつけ最後の抵抗に出たのだ。
実はこの時、ロシアは破産CBで宣戦布告を行っており、まさにその渦中に立たされた国であった。
当然、この事態に分割予定だった国は黙っておらず、取り分け分割に非常に熱心に思えたオーストリアの追求は凄まじいものだった。
ゲームを一旦止め、ルールを新たに策定する事になったが、ドイツはCBに関しては必死の抵抗を見せる。(恐らく破産CBがあるから)
結局、ルール上の不備という事で既存のCBはすべて使用禁止とした上で、今後発生したものに関しては通例通り使用可とする事で可決された。
―――従来ルール――― 宣戦布告する際は、宣戦時点で相手プレイヤー国より威信点が低い、または師団数が少ない必要がある *宣戦布告する時点でのものとする *同盟参戦の場合は、この限りではない ―――新ルール――― (今後)新たに捏造以外でできたCBは威信点、師団数に関係なく宣戦できる理由となる *(今後)一切の屈辱宣戦を禁じる *宣戦布告する時点でのものとする *同盟参戦の場合は、この限りではない
事実上、フランス=ドイツ間のアルザス=ロレーヌ要求CBは失効し、オーストリアのそれも使えなくなった事になったが致し方ないことか。
ちなみに、前記のロシアの宣戦布告はルール改定に伴い、強制的に和平が結ばれる事となった。
ここで焦点となったのが、日本の存在である。
現状、日本以外の国からはドイツへの宣戦布告が出来ない状態にあり
日本が分割に賛同すれば、問答無用でドイツはカッティングパイの如くずたずたにされる事になるのだ。
イギリス:「日本さん、もし宣戦布告してくれるならおいしいジャワ島を差し上げます。如何ですか?」
ドイツ :「え、ちょtt」
日本 :「良いですね、是非ください」
ドイツ :「」
かくして、ドイツ分割令は発布されたのである。
ここへ来て進退窮まったことを悟ったのだろう、日本からの宣戦布告だけで何名ものステートを獲得するには戦勝点を稼ぐのに時間かかるし
何より占領中の工場閉鎖が大きく内政に響く事から、ドイツから宣戦布告をすると申し出た。
自らの領土を明け渡すためにBBRを負担してまでCBを作成するとは、なんとも哀れである。
イギリスは、北海からバルト海に通ずるキール運河が欲しいという事でシュレスヴィッヒ=ホルシュタインと英国本土ステート返還を
アメリカはイギリスとの連携上なのだろうか、オストハノヴァーをそれぞれ割譲させた。
フランスは地続きで工業産物の多いノルドライン、オーストリア・ロシアは東ドイツで旨み成分の高い、ザクセンとシュレジエンを割譲要求した。
皮肉にもドイツが抵抗したことで日本の介入を招く形になり、約束通り日本にもジャワ島が割譲されてしまったのだ。
ロシアはシュレジエンを手に入れたことで識字率が3%(!)も改善、1Mの人口が爆上げした形だ。
各国はドイツから高識字率ステート受け取り、皆一様にホクホク顔だったに違いない。
ロシアはオーストリアから豊かなシュレジエンステートの取得権を譲り受けたのだが、ドイツは工場が閉鎖しないまま割譲したようだ。
この人知れぬ罪悪感に塗れながら、ドイツの断末魔を聞くのはなんとも後ろ指刺される思いである。
ドイツ分割でヴァイマール共和国変体のディシジョン要件を満たしたようで、いつの間にかドイツの国旗が変わっていた。
もはや、対独ヴェルサイユ体制としか言いようがない。
次回へ続く...。